資金の調達

会場の決定、予算の算出、チケット価格の決定が終了したら、残りの必要資金を集める必要があります。通常、金銭的またはそれ以外の貢献を通してあなたのエリアの WordPress コミュニティを支えたいと思っている地元や国内外の WordPress 関連企業がイベントを助けてくれるでしょう。

考え方

過去のイベントにおいてこういった企業はスポンサーと呼ばれ、WordCamp 運営チームによって様々な段階のスポンサーシップレベルが設定されていました。貢献する金額のレベルが上がるほど特典(多くはマーケティング向け)が高くなるというケースが一般的でした。しかし、この傾向によって多くの WordCamp が商業的になりすぎるという弊害が生まれました。宣伝向けのロゴがあちこちに貼られ、公式イベント中にスポンサーが製品の宣伝を行い、イベントスペースが開発を行うハック・スペースや仕事のパートナーを見つけるジョブボードに使われる代わりに広告用グッズで埋め尽くされてしまう、といったような状況です(訳注: 海外で過去にこういった問題があったとのこと)。

スポンサーになってもらう企業に金銭的支援をしてもらう対価としてイベントの参加者に対してマーケティングや広告をしても良いという考え方はしないでください。こういったことをすると、結果的には WordCamp のスポンサーシップが広告の購入であるという形になり、WordCamp Foundation や WordCamp 運営チームの非営利性が失われることにつながります。

スポンサーの金銭的支援は寄付金であり、イベントを応援するために支払われるものです。資金を提供してくれる方々を「スポンサー(出資者)」と捉えるのではなく、「サポーター(支援者)」と考えましょう。そして、こういった考え方がスポンサーの特典がマーケティング的なものになりすぎていないかを判断する基準になればと思います。例えば、小児病院に寄付した人が職員の制服に名前を書き付けたいと思うでしょうか(Tシャツの背中にスポンサーのロゴをべたべた貼り付けるのは控えましょう。その方が実際にシャツを大事に着てもらえるはずです)。また、環境保護団体が保護した地域に自分たちのグループの名前をつけようと思うでしょうか(スポンサーの名前をつけた冠トラックではなく、コンテンツに基づいたタイトルを選びましょう)。

打診先

はじめに、イベントを開催する地域で WordPress によって支出を節約できていたり、収入を得ているのは誰なのか探してみましょう。デザイン・制作会社、出版社、公開サイトやイントラネットに WordPress を使っている企業、そして WordPress を活用している有名ブロガーなど。そういった人たちにまず打診すべきです。

2番目に、地域の WordPress コミュニティについて考えてみましょう。あなたたちがよく利用するサービスや場所はありませんか?カフェ、コワーキングスペース、パソコン・モバイルサービスショップ、地域のホスティング会社や ISP、居酒屋、レストランなど、WordPress コミュニティのグループがたくさんお金を使っている場所があれば、打診してみるとよいでしょう。

3番目に、地域の一般企業も検討してみましょう。あなたの町に、非営利のイベントをよく支援している企業などはありませんか。勉強会やユーザー会のメンバーがそういった企業とつながりを持っているということはないでしょうか。もしくは、イベントで必要としている物が余っているという企業が周りにありませんか?金銭的ではない支援が思いがけず得られることもあります。参加者に告知をしたりクーポンを配る代わりに、イベントの二次会に利用される可能性があるレストランが飲食物の提供や、大幅な割引をしてくれたりといったこともあります。オフィス用品店が文具を寄付してくれたりといったこともあります。支援の方法は寄付だけではありませんし、ちょっとした支援も積もれば大きな寄与になります。「サポーター・クーポンパック」といったものを用意するのは、イベントのあちこちにロゴやバナーを貼り付けたり、冠セッションを行ったりせずに、サポーターに対する露出度を上げる良い方法と言えます。

4番目に、地域外で WordPress を使っており、世界の WordCamp を支援している企業に打診してみましょう。こういった企業を4番目に上げたのには理由があります。まず、こういったスポンサーは競争が激しく、彼らの予算は無限にあるわけではありません。ですから、もし地域で資金を調達できるならそうしましょう。次に、こういった企業は central.wordcamp.org のスケジュールにあなたの地域のイベントがあるのを見て問い合わせてくる場合もあります。ですので、イベントに協力してもらうのに力を注ぐ必要のある企業からあたってみるほうが良いでしょう。

最後に、どうしてもスポンサーが見つからないという場合は過去のイベントの運営者や WordCamp Japan にお問い合わせください。

景品について

抽選の景品や全員への無料プレゼントとしての品を提供したいというサポーターがきっと現れるはずです。WordPress の書籍、ブログ関係のソフトウェア、名刺作成サービス、その他さまざまな申し入れの可能性があります。つまり、無料で宣伝したいということです。抽選を長引かせてしまうのは参加者にとってイライラするものです。内容あるイベントや、懇親会の時間をたくさん奪ってまで行うことはありません。景品は実際に寄付や支援をしてくれたスポンサーのみが提供できるようにし、配布の際に参加者がイベントに来た本来の目的のための時間を削るようなことは防ぎましょう。

打診の方法

予算に基づき、スポンサーの機会を準備しましょう。金銭的寄付や物資的(製品・サービスの提供)寄付、または予算内の項目に対する全面的な支援(ランチやTシャツなどを直接業者に支払う)といったことが考えられます。準備ができたら WordCamp Central に送信し、承認を得ましょう。これを行うことで、WordPress Foundation が非営利団体のステータスを維持できなくなるような問題を予防することができます。

サイト内にスポンサーシップについてのページを作成し、印刷用 PDF とメール版の紹介文も用意してください。これですぐに打診を始められます。

イベント運営チーム内のサブチームとして、資金調達チームには5−10人程度のボランティアが必要になるでしょう。サポーターの見当をつけ、スプレッドシートに記していきましょう。また、Twitter、Facebook、イベントサイト、運営チームメンバーの個人ブログなどを活用しましょう。フォローしてくれている人がスポンサーの可能性がある企業や団体を紹介してくれたり、上司や勤め先に尋ねてくれたりすることもあります。サブチームの各メンバーがそれぞれ打診先リストを持つと良いでしょう。メール、対面、電話など、適切な方法で連絡してみてください。

サポーターの可能性のある企業や団体に連絡したら、結果をスプレッドシートに結果を記入します。イベントに必要な金額が集まったら(予期しない自体のために少し多めに集めておくのは構いません)、イベント資金の調達を終了しましょう。これより後に支援を申し入れてくれた人がいた場合は、代わりに今後その地域での WordPress コミュニティ活動を支援してくれるようお願いするか、来年のイベントのためにメモしておきましょう。

支払いの受領

サポーター企業・団体などが支援を表明したらすぐに支払いを行えるように準備しておきましょう

寄付を受領したらすぐにその旨を企業・団体へ伝え、予算シートを更新しましょう。この時点で、サイトのスポンサー・サポーターページに掲載する情報を集めます。イベントの有料チケットクーポンをスポンサー特典に含める場合は、クーポンコードを送りましょう。

日本のイベント運営者向け情報

特に日本では書類の提出・承認などに社内稟議で時間がかかる場合があります。必要となる書類、振込口座を前もって用意しておくとスムーズです。

グローバルスポンサーファンドを申請する場合、現在は任意団体のゆうちょ口座では国際送金を受け取ることができなくなっていますのでご注意ください。

また、WordCamp Central からの送金を受け取る際に方法を指定をしない場合はアメリカと日本の銀行間の国際送金となります。過去の経験より、Wise.com を経由した送金の方が早く確実なため、こちらをおすすめします。Wise の口座または日本の銀行口座で受け取ることができます。詳しくは日本の WordCamp メンターにご相談ください。

イベントにて

名札のデザインにもよりますが、サポーターに特別な名札カードや首紐・ステッカーなどを用意するのもよいでしょう。大規模な WordCamps では、サポーター向けに受付を別にするのもスムーズな運営につながります。サポーターの方々の協力なしではイベントを実行することはできません。皆さんへの感謝の表明を忘れないでください。


このページの文章は、WordCamp Planning の「Planning Details » Fundraising」に加筆・修正したものです。