スピーカーの選出

WordCamp は地域ごとそれぞれに特徴があります。事前にセッションの計画を立てず参加者手動の「アンカンファレンス」スタイルで開催するところもあれば、運営者が選んだスピーカーの講演だけのスケジュールを組むところもあります。その間をとって、イベント中に両方のフォーマットを混在させる場合もよくあります。スピーカーの選定を運営者で行う場合は、以下のことに気をつけましょう。

ローカル vs ロックスター

WordCamp の目的は、地域 WordPress コミュニティの活動を促進することにあります。スピーカーが全員地域外から来た人たちばかりだったら、ローカルな専門家(または将来的にエキスパートとなりうる人たち)が WordCamp で講演し、人前で話す機会を得ることができません。また、イベント後に WordPress.tv に動画が掲載されることで、その地域だけではなく全国のコミュニティにも登場できる機会があります。あなたのコミュニティのメンバーにもがんばってもらって、スポットライトを当ててあげましょう!あなたの町の WordCamp でセキュリティについて講演したことによって、コア開発メンバーのマーク・ジェイクィスのような存在となる人材が現れてくるかもしれません。

地域にいる才能のある人を紹介したいけれど、スピーカー候補が十分に専門的な知識を持っているか分からなくても、心配することはありません。新しいスピーカーのプレゼン内容が正確かどうかチェックしてくれるWordCamp「ロックスター」たちがちゃんといます。または、「ロックスター」レベルの専門家と地域のスピーカーを組み合わせ、共同プレゼン・インタビュー・ 評論・パネルディスカッションをやるのもいいでしょう。こういった講演形式を取ることで、専門家とローカルコミュニティの距離を近づけることができるでしょう。

とはいえ、自分たちの WordCamp へ WordPress 創始者のマット・マレンウェッグに来て欲しいと(密かにでも)思っていない運営者はいないでしょう。WordPress コミュニティでよく知られている人たちに会う機会があるのはわくわくすることですし、過去に勉強会やオフ会に来たことがない人たちがイベントに足を運ぶきっかけを作れるかもしれません。WordPress の貢献者、フォーラムモデレーター、WordPress ベースのビジネスで成功している人たち、もしくは Automattic 社員など、注目度の高いスピーカーを招待することにはなんの問題もありません。ただ、こういった人たちだけでスケジュールを埋めてしまい、地域の才能ある人々の出番を奪ってしまうことがないように気をつけましょう。

8割をローカルまたは周辺地域のスピーカーとし、残りの2割でそれ以外から来る人たちで埋められたら最高です。もし地域外のスピーカーばかりを集めようとしていたら、まだあなたは地域のコミュニティのことをよく知らないのかもしれません。WordPress を使って面白い事をやっている人が本当に周りにいないでしょうか?時にはそういったこともあるかもしれません。まだ実質的にはローカルコミュニティが育ってはいなくて、WordCamp をやることでそのきっかけを作ろうとしているのなら、外部のスピーカーを呼ぶことによって今後講演や運営を手伝ってくれる人たちとつながるのもひとつの方法ではあります。

スピーカー選出の手順

スピーカーになってくれそうな人を選ぶ方法にはいくつかあります。

  • イベント運営チームでスピーカー候補について話し合う。
  • 勉強会の参加メンバーから推薦してもらう。
  • サイトにフォームを設置し、訪問者に推薦してもらう。
  • 申し込み情報を公開し、自薦してもらう。

スピーカー候補の調査

スピーカー候補の一覧が用意できたら、すべての条件に合っているか調べる必要があります。もし個人的に知らない人であれば、Google などで検索してみましょう。だれか共通の知り合いで、候補者がどんな人なのか、また、講演者として適しているかを教えてくれる人はいないでしょうか。彼らが他のイベントで講演している動画はありませんか?彼らのサイトはWordPress を使って、きちんと作ってあるでしょうか(ここで冗談だと思うかもしれませんが、調べてみると驚くような結果になることもあります)。もっと情報が必要であれば候補者に聞いたり、講演の提案内容について話し合いを持ってみるのもよいでしょう。すべてのスピーカーは以下の条件を満たしていなくてはなりません。

  • スピーカーは、話す内容についてよく知っている必要があります。スピーカー候補の話したい内容が正確かどうか調査するにあたって、あなた自身がよくそのトピックを知らない場合は、しかるべき専門家から意見を聞きましょう。そういった専門家と面識がない場合、WordCamp Central が地域またはオンラインの適合者を見つけるお手伝いをします(訳注: 日本の場合は WordCamp Japan サイトの運営者も協力します)。
  • スピーカーは WordPress ライセンスを理解し、それに準拠しなくてはなりません。つまり、WordPress から派生したもの(テーマ、プラグイン、WordPress ディストリビューションなど)を配布している場合は、WordPress が与えている自由をその派生物のユーザーに対しても提供する必要があります。単純なライセンス準拠(PHP コードのみを GPL または互換ライセンスにする)だけを採用し、JavaScript、CSS、画像については独占的なライセンスを適用するということはこれに含まれません。100% GPL または互換性のあるライセンスを選択することが条件です。WordPress.org のガイドラインに従ってください。
  • スピーカーは WordPress の商標を尊重しなくてはなりません。例えば、トップレベルドメインに「WordPress」の文字が入ったサイトを運営していたり(WordPress ドメインポリシー)、WordPress Foundation の許可なくロゴを使用したり、商標を AdSense や AdWords で使用したり、そういったことを行っている個人・企業・団体を推薦したりといったことがないようにしてください。

スピーカーが講演することが決定したら、まだスケジュール自体が決定していなくても情報をサイトに掲載しましょう。プログラムを徐々に公開していくことで、参加してくれるかもしれない人の興味を惹くことができますし、スピーカーが WordCamp での講演を告知する場合はもちろん、他のブロガーや Twitter ユーザーなどにとってもリンクを貼る場所ができます。スケジュールが確定するまで待つことはありません。決定次第、すぐに情報を公開していきましょう。

決定後、採用・不採用にかかわらず公式な確認メールをスピーカー候補の方々へ必ず送るようにしてください。この時点で、プロフィール情報ををもらい、yyyy.cityname.wordcamp.org サイトのスピーカーページに掲載するとよいでしょう。

WordCamp によっては、スピーカー自身に WordCamp サイトの投稿者になってもらい、トピックや WordCamp についてのブログ記事を書いてもらうこともあります。コメント欄で参加者に質問を募る人もいます。このようにサイトを活用することで、参加者がセッションを選びやすくなったり、イベントへの期待を高めてくれるという効果があるでしょう。当日までにスピーカーと参加者の間のつながりを作るきっかけにもなり、イベントで直接話しかけやすくなるかもしれません。イベントサイト内のブログ記事は WordCamp を宣伝するために欠かせません。Twitter、Facebook、メーリングリストなどでどんどん共有していきましょう。

イベントの2週間前になったら、スピーカーにもう一度メールを送ります。会場の情報やスピーカーの講演時間を含めるほか、15分前にはスタンバイしてもらうようお願いしておくとよいでしょう。特別な機材や設定が必要かどうか尋ね、運営者の携帯電話の番号も教えておきましょう。


このページの文章は、WordCamp Planning の「Planning Details » Speakers」に加筆・修正したものです。